金庫の種類について

家庭用金庫と業務用金庫

金庫と言っても種類は豊富です。使用箇所によって「家庭用金庫(自宅などプライベートで使用)」と「業務用金庫(会社など業務で使用)」の2つにわけることもできますが、用途や性能で分けるとかなり細かく分類することもできます。

一般的に金庫の種類として挙げられるのが以下となります…。家庭用金庫、業務用金庫、耐火金庫、防盗金庫、投入式金庫、床下金庫、データセーフ、耐火キャビネット、耐火保管庫、防水ボックス、壁金庫、ホテル用金庫、手提げ金庫などです。


耐火金庫

金庫は「大事なものを守るため」の収納です。では、そんな大事なものを何から守るのでしょうか? 高温&高熱で全てのものを一瞬にして灰にしてしまう火事から守るのが「耐火金庫」です。耐火金庫は、日本工業規格(JIS)などが定めた耐火性能試験などに合格しているので、大事なものを火から守ります。一般の認識でも「金庫は火事でも大丈夫」と思っている人も多いでしょう。ただし注意も必要です。耐火金庫は火事になっても庫内温度を177度以下に保ち中の大事なものを守りますが、その時間は永遠ではありません。金庫などに貼られたシールに耐火時間が書かれたりしていますが、その時間を過ぎると、中の物も燃える可能性があります。また、金庫は耐火材であるセメント硬化物の中に含まれる結晶水が温度上昇を抑えていますが、経年劣化でその水分量が減ってしまいます。目安として、耐火金庫の耐用年数は「20年」と覚えておいてください。


防盗金庫

「防盗金庫」は耐火性能に加えて盗難に対する対策もされた金庫です。具体的には「破壊」に対する耐性が強い金庫のことを指し、日本セーフ・ファニチュア共同組合連合会(略称:日セフ連)が定めた防盗性能試験の基準を満たした金庫です。その試験内容は【耐溶断・耐工具防盗試験】…ガス溶断器や電動工具による大掛かりな破壊行為を想定した最高位の試験。【耐工具防盗試験】…電動工具や簡易工具などによる破壊行為を想定した試験。【耐破壊性能試験】…金庫破りでもっとも多い扉のこじ開けによる破壊を想定して、バールや金切りのこぎりなどの特定工具により、丁番軸を切断して扉と扉枠の隙間を大きくして扉の開放を試みる15分間の試験。などの試験があります。これらの試験に耐えうる金庫なので、企業や会社が現金や有価証券などを収納するのに使用されることが多いです。


投入式金庫

扉が上と下の2つに分かれた金庫で、上部に入れた収納物が下部の保管庫に落下して収納される仕組み。現金を取り扱う店舗などで使われることが多く、上の扉部分の鍵は従業員が開け閉めできるようにして、営業中などは上部に現金などを投入~下部に落下して収納されるようになります。下部の扉の金庫は管理者のみが持つようにすれば、金庫の利用者を制限できるメリットがあります。さらに金庫本体を床固定すれば金庫自体の持ち去り対策ともなります。

床下金庫

壁に収納する金庫と同じように、床下に設置する金庫は盗難に対して気付かれにくいのが特徴です。さらに床下なので周囲をコンクリートで固めれば、金庫自体の持ち去りも実質不可能となり、最強の防犯性能が得られます。ただし設置には、金庫の大きさのスペースが当然必要になるうえ、設置後に他の場所への移動などもできないので事前にしっかりと計画を立てる必要があります。また、金庫自体は自分でも動かせないので、耐火時間も長いものを選んだり、建物が崩落した際の衝撃に耐えられるくらいの強度があるものを選んだ方が良いでしょう。

データセーフ

昨今、コンピュータによる情報収集および情報管理は日常化となり、その情報はもはや「資産」と呼べるものとなっています。その情報はディスクなどの記憶メディアに保管されていることが多く、それらを守るのがデータセーフです。通常の耐火金庫の規定では、耐火性能を庫内温度「177度以下」、庫内湿度「規定なし」となっています。しかし磁気メディアなどは、60度を超えるとデータが破壊されてしまいます。それを防ぐため、データセーフでは庫内温度「52度以下」、湿度「80%以下」に抑えるJIS項目内の標準加熱試験に合格した金庫となっています。

防水ボックス

金庫の付属品的な役割を持つ防水ボックスは、ダブルラッチと防水パッキンで完全密閉し、水の侵入を防ぐものです。水深30センチの位置に5時間浸した状態でも、庫内への水の浸透を防ぐ性能を持っています。ただし防水ボックスには耐火性能はないため、主な使い方としては単独で使う以外に耐火金庫の中に入れて使う、などが多い使用方法となります。

麻薬金庫

麻薬指定された医薬品の保管は、簡単に開けられない専用金庫などへの保管が義務付けられています。合鍵が作られやすい金庫もNGでしょう。具体的にはモルヒネ(鎮痛薬)、コカイン(麻酔薬)などがその対象となります。その他にも覚せい剤にあたる薬品や毒薬、劇薬なども保管に際して厳しい基準があります。それらが簡単に盗まれたり、紛失および窃盗などされないためです。そのため手提げ金庫など持ち運びを前提とした金庫はNGです。

その他の金庫

金庫の種類は他にもあります。不特定多数のお客さんが使用するホテル用金庫は、防犯性能のほかに使い方もわかりやすいものでなくてはなりません。また、鍵の紛失なども考えられるため、鍵や合鍵を使わないで済むテンキー式なども多いです。壁金庫は床下金庫と同じく、窃盗や盗難の際に気付かれにくいのが特徴です。床下金庫同様、場所を変えたりするのは難しいため、一度収納場所を決めたら簡単に動かしづらいでしょう。